こんにちは!
辛口マンション評論家のマンションウナギです。
「ウナギのマンション購入講座」第7回目となります。
マンション購入の15ステップの⑥番「間取り選びの注意点」について解説します。
前回コラムでは「資産性で選ぶマンション選びのポイント3選」を紹介しました。
「①人気の街・駅・沿線」「②駅からの距離」「③眺望・開放感」でしたね。
・・・そうです。間取りは入っていないのです。
「どちらの間取りの方が資産価値高いですか?」というご質問をお客様からよく頂きますが、間取りがどうかというよりは、そのお部屋がマンション内でどういうポジションなのか?どんな眺望が得られるのかという方が重要です。
間取りの優位性に関しては、似たような物件が中古市場で同時期に売り出された際に、間取りの良い部屋の方が先に売れやすいとか、価格が多少高くても違和感はない程度です。
逆に言うと、間取りが悪いために割安になっているお部屋やマンションは狙い目とも言えます。
例えば、新宿区の「富久クロス」というタワーマンションはどのお部屋も苦しい間取りでした。
下記間取りのリビング・ダイニング・キッチンは「鰻の寝床」という言葉がふさわしいです。
ウナギさんはこういう間取りは大好物ですが、一般受けはしづらいです。
こういった間取りのマイナス面もあって、今では考えられないぐらいデベロッパー側も弱気の価格設定でした。
実際に建物が完成すると間取りの影響は思いのほか少なく、中古市場では高い価格を維持しています。
資産価値への影響は軽微。とはいえ、お住まいになるにあたって間取りは快適性を左右します。
ここからは「間取り選びの注意点」を3つご紹介します!
①収納
②デッドスペース
③3次元空間
間取り選びの注意点①番目は、「収納」です。
収納はやはり大事です!
最近の収納は天井まで高さがあって、空間を最大限活用しているマンションも多いです。
収納が少ない部屋を購入した場合は別途、収納家具を置くことになると思いますが、備え付けの収納ほど空間を有効利用することは難しいです。
デッドスペースが生じやすくなり、もったいないお部屋の使い方となります。
収納家具は転倒の可能性もゼロではありませんので、居室が多少狭くなったとしても収納が充実した間取りを選びましょう。
また、近年のマンション価格高騰により、新築マンションでは40㎡の2LDKなど広さを圧縮した間取りが散見されるようになりました。
下記間取りをご覧ください。
この間取りは柱が外側に出るアウトフレーム工法になっていて室内も整形で良い間取りだと思いますが、40㎡台で2LDKを頑張って作ったからなのか、大事なものがありません。
お分かりになりますでしょうか?
そう、通常は廊下またはリビングにある物入れが無いのです。
デベロッパーによっても異なりますが、通常は廊下ないしはリビングに家族共用の物入れを設置することを社内基準としていることも多いです。
この間取りでは掃除機など家族共用の物入れに入れるべきものをウォークスルークローゼットに入れることになると思いますが、2LDKということで洋服も含めて2人分の荷物を入れるとなると、綺麗に収まるのか心配になります。
ちなみにウォークスルークローゼットは他の部屋に行き来できて家事動線は良いですが、人が通る実質的な廊下部分は物を置くことができないので、収納力は劣ります。
余談ではありますが、新型コロナの影響による特例として新築マンションは登記面積40㎡~50㎡未満の物件についても住宅ローン控除が適用されることになりましたが、これは要注意ポイントです!
私が新築マンションの価格付けをしていた時には登記面積50㎡未満の物件は住宅ローン控除が使えないデメリットも加味して、50㎡以上のお部屋と比べると相対的に割安な価格設定にしておりました。
今は40平米台の1LDKや2LDKの新築マンションが以前より割高になっている可能性は否めません。
一方で、将来の売却の際には、買い手は中古として購入するので住宅ローン控除の恩恵を受けることができません。
新築時は住宅ローン控除が受けられる前提で設定された価格で購入し、売却時には住宅ローン控除が受けられないという評価になりますので、価格にギャップが生じる可能性があります。
注意点②番目は「デッドスペース」です。
具体的には廊下の長さやLDKの形状、柱の位置などがあります。
下記間取りをご覧ください。
間口が狭く、廊下が長めの間取りになっています。
また、リビング・ダイニングに実質的な廊下部分が算入されています。LDの表記はリビングに入るドアから計測しておりますので、LDの有効スペースは実際には小さくなります。
このような間取りは、有効に使えるスペースが何畳あるか分からないということもありますよね。
そういった時は隣の5.7畳の洋室のようにデッドスペースのない部屋をリビングに重ね合わせてみるのもおすすめです。LD12.5畳となっていても実際の有効スペースは5.7畳+α程度でしょうか。
長い室内廊下やLDの実質的な廊下部分、柱の室内への食い込みなどは専有面積にもちろん含まれておりますし、柱が室内に食い込んでいるということは柱と柱を結ぶ、梁が室内を通っており、天井が下がっている可能性が高いです。
③番目は「3次元空間」です。
具体的には天井高・下がり天井・サッシ高などです。
間取り図は2次元ですが、実際に生活するのは3次元です。
広告などで掲載されている図面、いわゆるトレース図面では下がり天井の記載はありませんので、
モデルルーム等で貰える詳細図面にてご確認ください。
それでは、下記トレース図面をご覧ください。
注意点②でも触れましたが、この間取りをみたらまずはデッドスペースである洋室(1)の「柱」に注目します。
「洋室(1)に柱が入っていて使いにくそうだな」これは誰しもが思うところではありますが、間取りを見ることに慣れてくると「柱が室内にあるということは柱と柱を結ぶ梁が通っている可能性があるな」と推測できます。
この図面上は他の柱が見当たりませんが、通常は横方向と縦方向で柱と柱が梁で繋がっています。
答え合わせをしましょう。下記詳細図面をご覧ください。
まずは横の梁ですが、バルコニーに面した3室共に窓際の高さが2010mm、2メートル1センチになっています。サッシ高も2mぐらいだろうと推測されます。
次は縦の梁です。柱から廊下側に向かって2040mm、2メートル4センチの高さになっています。
洋室(1)の天井高は2600mm、2.6メートルの表記ですが、室内の半分は高さ2メートルぐらいです。
過去の動画でも何度かお話していますが、天井高という数字的な高さよりも下がり天井が少なく天井がフラットに近い方が開放感を感じられます。
例えば、東京ミッドタウンの近くにある「パークマンション六本木」は天井高2.4メートルで数字的にはそこまで高くないですが、天井がフラットでサッシの高さも相まって開放感があります。
天井高や下がり天井、サッシ高は将来のリフォームでも変更することが困難です。
中古マンションであれば実物が見られますので天井高等を把握することも容易ですが、新築マンションの場合はモデルルームでは下がり天井が少ない住戸を採用しているケースもあります。
詳細図面にて検討している間取りの下がり天井の高さをよく確認しましょう。
以上、「間取り選びの注意点3選」について解説しました。
間取りそのものというよりは附随する話が多めになってしまいましたが、間取りは個別性が強いものだからこそ、どのマンションでも共通する内容を解説しました。
個別の間取りについて具体的なメリットデメリットが知りたい方は、ぜひ私までご相談ください。
次回は「住宅ローンの事前審査」について解説します。
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お読みいただき、ありがとうございました。