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第47回 マンションの生活音は複雑怪奇!!

三井健太
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【マンションの生活音は複雑怪奇!!】

 

木造やプレハブのアパート住まいの人からよく出る質問に「上階の音は大丈夫か?」があります。

賃貸住宅にお住まいの人は、例外なく、上下階の騒音や、隣の部屋の話し声などに悩まされた経験をお持ちのようで、神経質になっているのかもしれません。

ご自身の家族のことなら何とも思わない音でも、他人事となると気になるものですし、逆に自分がよそ様に迷惑をかけているのではないかと、声を潜めて暮らした経験を持つ人が多いのでしょう。今度は快適に暮らしたいという思いと、新しい住まいへの不安とがない交ぜになるものです。

 

人の感性によって異なりますが、分譲マンションの場合、音は気になりませんとは言い難いのです。事業者や設計者、施工者等は長年の研究によって騒音対策(遮音性能を高める工法や部材の採用)に取り組んで来ましたが、完全に無くすというレベルには達していないのが現状です。

 

販売担当者は、二重床、二重天井にしています、隣家との戸境壁も分厚いですから大丈夫ですなどと説明しますが、あまり当てになりません音源も真上や真横とは限らず、コンクリートを伝わって2~3軒先から聞こえてくることもあります。

 

通常の生活であれば、アパートとは比べ物にならないほど静かなレベルと言ってよいでしょう。強いて言えば、夜中に耳を澄ませば聞こえるということはあります。

 

たまたま、近所に夜昼が逆の生活をしている家庭があったりすると、迷惑なことがあるようです。

大切なことは、マンションは共同住宅なわけですから、お互いにマナーを守り不必要な音は立てないように心掛けることにあります。

 

日頃つきあいのない家庭の騒音はうっとうしいものですが、親しく交流している関係なら多少の騒音は気にならないものです。

しかし、近所付き合いの煩わしさがなくていいと聞いてマンションに住み替えたという人もあります。そのような人は、万一、騒音に悩まされることになったらどうすればいいのでしょうか。

 

その場合の方法は次のようなことになるでしょう。

 

まず、構造・施工上に問題がないか、売主に音の状況を何回も確認させて、その音の原因を突き止めさせることです、音がどの程度のものか測定器で測らせることも必要です。瑕疵、施工不良、施工ミス、手抜きなどいろんな原因が考えられます。

 

また、他の住戸においても同じ問題を抱えている居住者がいる可能性があります。
理事会に申し出て、全住戸に生活音に関するアンケートを実施してもらい、その結果あちらこちらで、ウチもそうだと言う住人が出てくれば、管理組合として無視できません。売主に対し、瑕疵担保責任を追及することになるでしょう。

 

管理組合で分譲会社と施工責任者を呼び、現地で音の測定等を実施して、瑕疵だと判明すれば、売主の責任で、しかるべき補修をするという流れになると思います。

 

近隣住戸の生活が、夜型と朝型の生活パターンの違いがある場合や、高齢者と小さい子供のいるファミリーとでは、さまざまな状況の違いにより、お互いに理解がされないため深刻な問題に発展してしまうことがよくあります。

 

一度トラブルに発展すると、当事者間の話し合いで解決することは非常に困難になります。管理組合や管理会社に間に入ってもらっても解決策の糸口を見つけることが出来ないことさえあります。

 

話し合いで解決しないということであれば、各市町村に於いて騒音防止条例が制定されています。この条例は、騒音を防止して生活の静穏を保つことを目的とします。

何人(なんびと)も午後11時から翌日の午前6時に至る間においては、音響機器音、作業音、動作音等は屋内、屋外何れで発する場合であっても、近隣家屋内における睡眠を妨げない程度の小音としなければならないと定められていますので、市区町村の環境課に、どの程度の音か測定を依頼するのです。

測定の結果、受忍限度を超えるようであれば立派な公害ですから行政指導という形で注意してもらえると思います。「受忍限度」とは、社会生活を営むうえで、騒音・振動などの被害の程度が、社会通念上我慢できるとされる範囲のことです。

 

それでも駄目な場合は、地元の簡易裁判所に調停を申し立てます。

数ヶ月程度の時間はかかりますが、解決に至る場合が多いようです。

また、弁護士に頼んで、内容証明郵便を送りつけるのも、有効だと思います。

 

諦めたら終わりですが、同じ被害を受けている近隣との協力しあうことが、功を奏することが多々あります。

 

以上で解決しない場合、最後に頼りになるのは裁判です。

裁判をするとなれば、騒音が「受忍限度」を超えていることが必須条件となり、費用と時間がかかりますが、騒音の差止めや損害賠償が認められる可能性があります。

因みに、一戸建ては音問題がないのかと言いますと、さにあらずです。

2階の足音は容赦なく響くが、生活時間のズレがなく、また身内だから気にならないだけなのです。さらに、道路と接しているために車のエンジン音や足音が響いたり、隣家の話し声が聞こえてきたりなんてこともあります。

 

 

 

終わり

 

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