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【いざというときの少額手付け契約】
理由は様々ですが「折角の売買契約をキャンセルしたい」と考える人があります。
契約キャンセルは、手付金没収(放棄)という痛みを伴います。5000万円のマンションなら500万円というのが一般的な手付金の額ですが、大抵これを捨てるしかなくなるのです。
解約して手付金が戻るのは特約が付いている場合だけで、一般的には「ローンが不承認になったとき」と「自宅が売れなかったとき」の二つがあります。
「転勤が急に決まった」は、自己都合の範疇に入るので、無償解約とはならないのが原則です。
●解約したいと思う事情・理由
さて、解約したいという理由の多くは「見学から契約までのスピードが早過ぎ、じっくり考える間もなく決断を迫られ契約してしまったが、とても後悔している」というものです。
どのような物件でも完全無欠はなく、どこかしら気に入らない部分、欠点・短所が見られるもので、そこは妥協や軽視の結果の決断となるのが現実です。
しかし、他人から見れば「そのくらいのこと」でも、一旦は「仕方ないか」と自分に言い聞かせて契約まで進んだものの、あとで「やはり我慢できない」と思い直したりするのですね。
また、「契約前には気づかなかった欠点」が契約後にクローズアップして来て「いやだ」となるケースも見られます。
担当営業マンから説明はなかったので「聞いていない」とクレームをつけると、「図面に書いてあります」と、あっさりかわされます。確かに良く見れば小さな文字で表記されています。
よく見なかった買い手の貴方が悪いと言わんばかりの対応に腹が立っても後の祭りというわけです。
これらは多くが新築マンションの売買で起こります。
●悩んだ末の契約をするときの自衛策
冒頭でも述べたように、解約には痛みが伴います。買い手の一方的な都合で解除を申し入れれば「手付金の放棄」また「違約金の支払い」が必須となるのです。
違約金の最高額は物件価格の20%と法が定めています。手付金も20%を超えて受け取ることは禁じているので最高でも20%ですが、多くのデベロッパー(新築の売主)は10%の手付金を買主に求めています。
契約時には「そういうものか」と特に疑問を挟むことなく、売り手の言いなりになって手付金を払ってしまう買い手が大半ですが、契約条件は交渉の結果で決まるのが基本なので、言われるままに従うこともないのです。
「それではお売りできません」と強気の売主もないことはないのですが、大抵は買主の要望をある程度は聞いてくれます。
今、まさに契約寸前というとき、少しでも気になる点(納得がいかない点・気になる点)があったら、手付金は可能な限り減らすことが大事です。
短い時間で契約に進んでしまったとき、反対に悩み抜いた挙句に押し切られて契約に至ったときなどは特に重要な自衛策になります。
5000万円の10%ではなく、5%の250万円、もっと下げて100万円くらいに抑えるのが賢明と言えましょう。
「頭金は直ぐに揃わない。100万円ならすぐでも大丈夫だけど」などと切り出して交渉をスタートするのがコツです。
十分に検討した。疑問は解けた。これで問題は残っていないはずだ――仮にそう思っても何があるか分からない。「念には念を入れよ」と言うし、「石橋を叩いてもなお渡らないくらい」の慎重さがあって悪くないということですね。
「自分の迷いを断ち切るために大きな金額を納めてしまおう」という考え方もないわけではないですが、これは営業マンの殺し文句に過ぎない。筆者はそう思います。
万一に備えたいなら、自衛の策として「少額手付」で契約されるようお勧めしたいと思います。無論、何事もなく新居で快適な暮らしができることが一番ですが・・・
●引き渡しまで1年以上もある物件を契約したときにも応用
新築マンションの場合、契約から引き渡しまで1年以上、長いものでは2年近く待たなければならない物件があります。
腹は決まったとして契約をした人でも、待っている間に「より魅力的な物件」が販売されることがあるかもしれません。
このようなとき、契約済みの物件を止めて後の物件を買いたいという心理になるかもしれません。
そんな場合を期待したいという人は、手付金を捨てる覚悟がいるわけです。そのときのためにも手付金を少なくして契約しておきたいところです。
●手付金保全は諦める
新築マンションを購入して支払った代金の5%を超える場合は、国が指定した保証会社または銀行が代金の全額を引き渡しまでの期間、万一の返還を担保(保証)してくれます。
逆に言うと、5%以下の支払に関してはどこも保証してくれません。
万一の返還とは、売主や施工ゼネコンが倒産してしまったような場合を想定しているのです。要するに、残代金決済と同時に引き渡してくれるはずだった建物が自分のものにばらないと分かったとき、支払い済みの代金の回収を確実にするための制度で、「手付金等保証制度」と言います。
少額手付の契約には、手付金が保全されないということを承知しておく必要があるということなのです。二者択一ということになりますが、売主の財務基盤がしっかりしていれば心配はないのですが、念のために付言しておきます。
終わり
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