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第12回 モデルルームと実物とのギャップに失望しない方法

三井健太
三井健太

マンション販売は、工事中に販売を始める、青田売りが一般的です。

その場合、購入者は、実物を見ないで決めることになりますが、そのことが完成後の「こんなはずではなかった」という失望を生む原因になることがあります。

 

注意すべき点は、どこでしょう。気持ちよく入居の日を迎えるためのポイントをお話ししましょう。

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事業者としては、早く販売のメドを立ててしまいたいので、青田売りに踏み切ります。

完成してから売るのは、モデルルームの建設予算が捻出しにくい小型マンションの場合くらいです。

マンションは工事途上、モデルルームだけで契約してもらうというのが慣習になりました。大きなトラブルも生まなかったことから、業界全体が「青田売り」を常態化させて来たのです。

 

しかし、モデルルームと、購入した部屋があまりにも違うという印象が購入者をしばしば失望させます。購入する部屋とモデルルームが、たまたま同じタイプになっていたらまだマシですが、そうでないことが多いので、想像と違ったという失望感は、どうしても生まれがちのようです。

 

例えば、部屋の真ん中に飛び出した梁。その圧迫感は、尋常ではありません。「こんな部屋と思わなかった」と、ショックを隠せない購入者もいます。また、「個室がこんなに狭いとは思わなかった。本当に〇畳ありますか」などの感想も漏れます。

 

モデルルームというのは、最近では原型(標準仕様)が分からないような造りとなっているケースも多いようです。間仕切りを変更し、仕上げ材をグレードの高いものに変え、設備もオプションを加えて豪華に見せています。更には、家具やインテリアによる演出もあり、感動的な姿で登場します。

 

商品のデコレーションは商売の常道です。とはいえ、モデルルームには、見学者を錯覚させる魔法のような力が備わっているようです。

化粧を取ったらまるで別人だったというくらいに、厚化粧した役者のようなもの、または、昔の見合い写真のようなもの。それがモデルルームだと思った方がいいかもしれません。

 

モデルルームには、「このシールが貼ったものはオプション品です」、「家具は販売価格には含まれません」などと、注意を促すプレートがどこかに掲示されています。

しかし、買い手は素人。不慣れです。言葉だけで本当(標準仕様)はこちらと言われても、グレードアップした方だけを見せられたら、それが記憶されてしまいます。

 

厚化粧をしていない素(す)の部屋を見た瞬間、きっと詐欺だと怒りたくなるはずです。

しかし、「想像していたものと違う」などとクレームをつけても、売り手は涼しい顔です。

天井から垂れ下がった大梁の問題にしても、図面の上にきちんと表示してあるからです。重要事項説明書にも、「図面をよく確認してからお申込み下さい」と記載してあります。よく確認しなかった買い手が悪いということになってしまうのです。

 

図面とモデルルームを睨みながら、自分の部屋はどうなるだろう。ここからオプション品や家具をはぎ取ったらどうなるだろう。これを想像することは、簡単ではありません。経験を積んで慣れるしか、完成後の失望感をなくす道はないわけです。しかし、この経験を積むことも容易なことではありません。

 

そこで、おススメなのが、家具も何も置いていない部屋の見学。当然、別のマンションになりますが、完成済みの販売物件を探して見に行くのです。

 

同じ売主に該当するものがなければ、別の売主さんには購入する気がないので申し訳ないことになりますが、きちんと理由を話せば見せてくれるはずです。

また、完成済みマンションであれば、本体内のモデルルームが用意される一方、それと同一タイプの未販売住戸があれば、素のままで見学し、比較ができることになります。違いがはっきりと分かります。

仮にモデルルームと同じタイプでなくても「素の部屋」を見る意義は高いでしょう。