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「第9回」こどもの転校を伴う買いは是か非か?

三井健太
三井健太

転校は子供のために良い?

 

これはある意味で子供の教育方針に関わる問題です。話は飛躍するのですが、産業能率大学の安本美典先生は(心理学専門)は、その著書『人付き合いの心理学』(PHP研究所発行)の中で次のように述べておられます。

 

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『家庭内暴力の原因は家庭の構造にあると言われている。すなわち、一般に①父親の影響が薄く、②母親が支配的で、③しばしば夫婦間に共感の欠けている家庭に家庭内暴力は起きがちである。

 

第2次大戦後、世界のどこの国でも少年の非行が激増した。しかし、イタリアだけは増えなかった。そこで、少年非行に悩んでいたアメリカが調査団を派遣して調べた結果、明らかになったのは次のようなことであった。

 

イタリアでは「家庭内で父親の威厳が伝統的にしっかりしている」―これが少年非行の増えなかった原因であると考えられた。イタリアではどんな家庭でも、父親は妻や子供から家長として尊敬されている。父親は愛情、温和、厳格を適正に使い分けて家庭を支配している。家庭には生活を規律する「おきて」がある。子供のしつけが自信を持って行われている―などのことが明らかになったのである。

 

家庭内暴力を起こす少年の父親は、一般に社会的には真面目で信用があるけれども、家庭では気が弱くて優柔不断の人が多い』 と、安本先生は述べておられます。

 

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マイホームを求める場合に、親として子供のことも考えてあげるのは当然ですが、転校しなくてもすむような立地条件で予算ぴったり、広さも間取りも申し分ないというような住宅が都合よく見つかることはほとんどありません。

 

従って、何を優先して選択するべきかを考えて行った結果、親の通勤時間や広さ、あるいは環境などが先にあって、子供の転校が伴うかどうかは最後となるのが一般的です。

 

もし、転校が伴うとしたら、お子さんはきっとそれを嫌がるでしょう。泣いて抵抗するかもしれません。しかし、その時は親の威厳で子供の我がままを説得するべきではないでしょうか。それが、ある種の教育ともなり、しっかりした子供を育てることにつながるのだと思います。

 

また、子供は元々高い順応性を備えていますから、転校しても、すぐに友達ができて新しい環境に慣れてしまうものです。前の学友や近所の子供たちに加えて新しい学校の友達も増え、輪が広がりますし、環境変化に適応する力が身につくなど、かえって子供の教育上も良い結果を生むことが多いと信じます。