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第34回【中古マンションの検討すべき項目】

三井健太
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【中古マンションの検討すべき項目】

 

中古マンションの購入に当たり、検討すべき項目を挙げてみましょう。ここをコピーしてポケットに忍ばせ内覧時に持参するといいですね。

 

  1. 築年数と耐震性 (1983年以降の竣工物件かどうか=1981年以降の建築許可物件か?)
  2. 築年数と修繕履歴 (大規模修繕がいつ行われたか。その範囲は?)
  3. 分譲主・施工会社 (売主か施工会社、または両方のブランド力は高いか?)
  4. 管理会社と管理体制、管理状態 (管理会社の経験・実績は豊富か?管理人の勤務日数は?滞在時間は1日5時間以上か? 清掃は隅々まで行き届いているか? 放置自転車はないか?)
  5. 管理費・修繕積立金 (管理費は1㎡当たり首都圏平均の@230円より高いか安いか? 高い理由・安い理由は? 修繕積立金は築年数の割に安いことはないか?)
  6. 建物規模と共用施設 (100戸以上の規模か? どのような共用施設があるか? 中庭や植栽スペースはたっぷり取られているか?)
  7. 外観・玄関等のデザインとグレード感 (個性的・高級感・上質感・洗練されている・重厚感・格調高い・威風堂々・優美・壮麗などのキーワードのどれかに当てはまるか?)
  8. 間取り (10年住んで行ける間取り・広さがあるか? 主寝室のプライバシーは問題ないか?家具配置はどうか?)
  9. リフォーム費用 (どこをリフォームすべきか?設備機器は交換を要するか=使用期間は何年経過しているか?)
  10. 立地条件・交通便 (坂道はないか?歩道付きの道か?学校までの時間は?)
  11. 立地条件・環境・眺望・日当たり(嫌悪施設はないか?)
  12. 品質保証 (瑕疵担保責任はどこまでか?仲介業者による瑕疵担保保証はあるか?

 

尚、品質に関しては「住宅性能評価」を受けている物件であれば、「性能評価書」を見ることで、耐震性や耐久性、省エネ性、防犯性といった項目(全部で10項目あります)でチェックできます。ただし、2000年以降の法制なので、取得していない物件も多い現状にあります。確認してみましょう

 

●内覧のときの観察ポイントは?

以上を踏まえて、内覧時の観察ポイントをいくつか紹介しましょう。入居中のために観察を遠慮しがちでしょうが、できるだけ売主さんにお願いして見せてもらいましょう。質問についても同様です。

 

①ひび割れの有無を目視で探してみる・・・長く放置しておくと雨水が入り込み鉄筋が錆びて、耐震性・耐久性ともに低下してしまうからです。 外壁や廊下の天井、バルコニーの天井などに30センチ以上の長いひび割れがあったら要注意です。タイルの剥離も同様です。

 

また、仲介業者を通じて、管理組合に修繕予定はいつかと質問をしましょう。

 

この点検項目は、管理の良し悪しを見る重要なものとなります。

 

修繕積立金が十分でないためか、それとも管理意識が低い管理組合なのか、どちらにしても適時、適切に修繕を行ったマンションと、そうでないマンションでは、長い間に資産価値に大きく差がついてしまうからです。

 

 

②設備機器の耐久性をチェックする・・・ガス器具、エアコン、ディスポーザー、食器洗浄乾燥機、床暖房などは、有無を確認しつつ、何年使用しているかを尋ねましょう。 入居後すぐに新品と交換しなければならないのか、まだ数年は使えそうかの判断をするためです。

 

③結露の有無を調べる・・・北側に位置する個室を見るときは、明るさと通行人の足音を聞くことに加えて、窓の周囲の壁と天井に目を凝らしましょう。

 

黒ずんでいたり汚れがひどかったりするようであれば、冬季に結露ができやすいことを示すものであり、原因は断熱材の施工が十分でない可能性が疑われます。そして、リフォーム費用に大きく響きます。

 

④床・壁・天井の表面を全体的に点検する・・・トイレや洗面所の床の表面材(普通はクッションフロアという材料で仕上げてある)がめくれていないかどうか、壁紙の張り合わせ部分がめくれて隙間ができていないか、変色していないか、傷や汚れがないかどうか、フローリングの表面仕上げ部分がはがれていたり、傷が目立ったりしている所がないかどうかなども。

 

リフォーム工事の予定に組み込むかどうかの判断に必須だからです。

 

 

●必ずチェックしたい修繕履歴と修繕計画

内覧とは別のチェックポイントとして重要な点がこれです。この確認には、管理会社からの「管理に関する重要事項説明書(仲介業者が管理会社から取り寄せてくれます)」をよく読むことと「管理組合議事録」の閲覧も必須です。

 

<修繕履歴>

「管理に関する重要事項説明書」には、いつ大規模修繕を実施したかが書かれていますが、その内容は必ずしも明確に記載されていないので、「管理組合議事録」で何をどのように行ったかをチェックしましょう。

竣工後12年目に最初の大規模修繕の必要時期がやってきます。次は24年目ですが、専門家に診断の結果、遅れても問題ないという場合もあります。

 

しかし、修繕積立金が足りないために延期したかもしれないのです。そのあたりのことは、議事録を読み込むほかありません。

 

仲介業者に依頼して報告してもらうのが手間なしでいいですが、心配な人は議事録を保管してある場所(管理人室か管理会社)に出向いて閲覧するほかありません。

 

議事録を読み込むと、管理会社からの提案がなされたが実施は見送られたとか、その理由、提案を受け入れて修繕に踏み切った場合では、工事会社はどのように決めたのか、例えば組合役員に一任したとか、決定に当たっては数社から見積もりを取って、その中から組合総会で決定したのかなどの経緯が克明に記されています。

 

また、修繕積立金の増額提案については、議論されたが反対決議であったとか、毎月はそのままで一時金徴収を決議したなどという記録もあるものです。

 

ついでに、駐車場の空きが長く続き、収入が不足しているので管理費の増額を検討中といった記録も発見できるかもしれません。

 

<修繕計画>

国土交通省の調査によると、古いマンションでは「長期修繕計画」を立案していないものが30%近くあるのだそうです。 長期計画がないということは、行き当たりばったりで修繕を行って来たこと、今後もその方向にあることを示唆しています。

 

そのようなマンションは、資産価値の劣化が早く進んでしまう懸念があるわけです。

 

長期修繕計画書がある物件なら、それを是非とも確認しましょう。 その中には必ず「収支対比表」があるはずです。 年次ごとに必要となる修繕項目とその費用見込み額が「支出欄」に記載され、その支出を超える積立残高をキープするための年次・積立金合計と残高が「収入欄」に記載されています。

 

年次の積立金が変わっている(増額になっている)年があれば、その年から毎月の積立金の変更が行われる、または一時金徴収が予定されていることが判明します。

 

尚、長期修繕計画書がいつ作成されたものか、日付を確認することも大事です。長くとも5年ごとに見直しが行なわれて来た計画書ではなく、分譲当初のままであれば、管理組合の管理意識が低いことを疑わなければなりません。

管理意識の薄さは、マンションの資産価値を下げてしまうことにつながるからです。

 

その疑いがあれば、先に述べた「ひび割れの有無」や「鉄部の塗装のはがれ」、「タイルの剥離」などを再度見て回るようにしましょう。

 

終わり

 

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