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第53回「劣化対策等級3」にどんな意味があるの?

三井健太
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「劣化対策等級3」にどんな意味があるの?

 

100年コンクリートを使用した、長寿命のマンションが最近は随分増えましたが、興味を持つ人は少ない気がします。販売担当者から説明を聞いても、「ふーん。すごいね」と感想を漏らすものの、その意味の深さをあまり分かっていないのです。これは、説明する売り手にも問題があります。

ともあれ、今日はコンクリートの寿命、劣化対策マンションについて考えてみました。

 

●劣化対策「等級3」とは?

最近の新築マンションは、住宅性能表示の項目で「劣化対策」を強化した物件が増えています。

「劣化対策」とは、使用する建材そのものの耐久性と、鉄筋の錆び対策、木造住宅では構造用木材の湿気・シロアリ対策といった住宅の構造部位の劣化を抑制するための対策のことです。

 

2000年に誕生した住宅の品質確保法によって、「住宅性能表示制度(第三者によって評価される。評価を受けるか否かは事業主の任意)」による客観的な指標が登場しました。

 

評価項目は大別すると、省エネ性、耐震性、耐久性、維持管理対策、高齢者配慮対策等ですが、耐久性(=劣化対策)の項目に関しては3段階で評価されます。

 

建築基準法定める最低限の対策が講じられている場合は「等級1」、2世代50年60年程度)まで長持ちするように対策が講じられている場合は「等級2」、さらに3世代75年90年程度)まで長持ちするように対策が講じられている場合には「等級3」と表示されます。

 

最近の新築マンションは、劣化対策等級3(最高ランク)を獲得している物件が70%を超えるとも言われ、耐久性の高い物件が増えています。

 

耐久性の高いコンクリート住宅(マンション)やビルは、①強度の高いコンクリートの採用と、②水とセメントの混合の際に水を少なくする、③鉄筋にかぶせるコンクリートの厚みを深くする(=かぶり厚)の3つの対策で誕生します。

 

 

●長寿命マンション誕生の背景

長寿命マンションが急増しているのは、どんな事情、背景からでしょうか。

それは、老朽化したマンションの大規模修繕と建て替えが進まないことにあります。

 

老朽化したマンションが、幽霊マンションとなり、都市の粗大ゴミ化する惧れを感じた行政、研究者、知識人は、「より長く住めるマンション」の新規建築と既存マンション対策の両方を推進することを課題として訴えました。

 

その一環として、「長期優良住宅の認定制度」が先ず設けられました。マンションではまだ数が少ないのですが、認定を受けた住宅は、住宅ローン金利の引き下げや不動産関連税の減免といった特例を受けることが可能になっているというわけです。

 

また、マンションでは「長期修繕計画」を30~40年に渡り策定するのが慣行となっています。

つまり、給排水管の取替え、屋上防水、外壁塗装、バルコニー・廊下・階段修繕、駐車機械の補修・交換、エレベーターの修理・交換といった項目に関して、修繕の周期や工事金額をマンションごとに定めています。

 

マンションは、鉄筋コンクリートで造られた堅牢な建物であるため、メンテナンスはそんなに必要ないと考えがちですが、決してそんなことはありません。雨風と直射日光に何十年もさらされた外壁や、長く使用した各種設備は必ず劣化します。

 

そのために、マンションでは分譲時から数十年に亘る「長期修繕計画」が必須とされたのです。

 

●長寿命マンションの意義

分譲マンションのパンフレット等には、「子孫(こ、まご)の世代へ、3世代先まで資産を継いで行くために」と表現したものが大部分です。

 

ともあれ、「子孫の世代へ、3世代先まで」考えて購入する人は少ないのでしょう。つまりニーズが少ないので、売り手もあまり多くのスペースを割きません。長持ちマンションの施工法などを図示し、淡々と説明を加えているだけというのが実態です。

 

長寿命マンション、すなわち耐久性の高いマンション、劣化対策等級3のマンションの意義はどこにあるのでしょうか?

 

マンションは長期修繕計画にのっとり、設備を更新したり修復したりすれば、コンクリートが朽ち果てることはないのだから問題はないのでは?

 

いいえ、マンションはコンクリートだけでできているのではなく、鉄筋とコンクリートとによる構造、すなわち鉄筋コンクリート造であることに問題があるのです。

 

コンクリートには時間が経てば、クラック(隙間・ひび割れ・亀裂)ができます。地震が原因になることもあります。

表面はタイルで覆われ、内部の亀裂は隠れていますが、長い間にはタイル自体も剥離したり、目地が取れてしまったりします。そこからコンクリートの亀裂に雨水が達し、コンクリート内部に染み込むのです。

 

毛細血管のようになったコンクリートの隙間(クラック)から雨水が染み込むと、鉄筋はさびます。錆は鉄を膨張させます。

膨張した鉄筋は、内部からコンクリートを破壊します。亀裂は大きくなり、ますます雨水を呼びこみます。

 

これが、雨漏りや室内に湿気がこもる原因となります。不快な住まいとなり、居住性は悪化していきます。

そのような状態の鉄筋コンクリートは、構造的にも弱体化してしまい、耐震性も低い状態になってしまうことでしょう。

 

しかし、ここまでなるには何十年もかかるに違いありません。私たちの生きている間に重大問題になるとは思えません。

それに、亀裂が目視で分かるような状態になっていれば、きっと補修工事を実施するでしょうから、延命できるでしょう。

 

では、何も問題はないのでは?

 

ところが、50年しか持たないマンションは、50年経ったら突然コンクリートがぼろぼろになって倒壊し、明日から暮らせなくなるわけではありません。その手前の20年か30年あたりから見えないところで雨水の侵入を許し、快適な暮らしを阻害し始めるかもしれないのです。

 

つまり、コンクリートの亀裂は雨漏りや結露の原因をつくっているかもしれません。ところが、原因箇所の特定は難しいので、多分放置されます。その結果、病気のガンではありませんが、気付いたときは全身に転移していたなどという事態に発展するのです。

 

そこまでになる前に原因が分かるでしょう。しかし、何年か放置された結果、原因箇所は1か所ではないことに気付かされます。そうなると、多額の修繕費をかけて劣化対策工事を施すということになりかねません。

実施すれば、修繕積立金は予定外の支出で底を着くことになりそうです。

 

このような状態が、私たちの存命中に起こる可能性がないとは言い切れません。人生90年時代が手の届くところまで近づいている今日、寿命50年では短すぎます。ここに、長寿命マンションの意義があるのです。

 

劣化対策を施したマンションを買っても、売り手や国の施策として孫子(まごこ)の時代も住み続けられるマンション造りに賛同するだけで、自分が生きている間に実益は何もないとは言い切れないことが、お分かりになったでしょうか?

 

購入するマンションが新築とは限りません。希望条件に適うマンションは、中古かもしれませんね。その中古に20年間住んだとき、あと20年もつかどうか分からないマンションより、まだ50年以上はもつマンションの方が良いはずです。

そのマンションを売却するとき、長寿命マンションの方が間違いなく価値は高いはずです。

 

 

終わり

 

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