三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)
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「買いたい時と買い時の不一致を解消する」
マンション購入を考え始めた時期、言い換えればマイホーム取得の動機が発生した時期が市況の悪いときとぶつかってしまった。 現在マンション探しに奮闘中の人にとっては、このようなときなのかもしれません。
首都圏各地の販売中物件の評価レポートを作成していて感じることは、最近1年くらいに限ると、例外なく「高い」ということです。
レポートは客観的なものですが、ある意味で冷徹なものでもあります。相場を調べ、類似物件との条件比較も行いながら、高い物は高いと書きます。必要に応じて、どの程度の割高感があるかを根拠とともに示すようにしています。
さて、そのレポートを受け取った依頼者はどう受け止めているのでしょうか?
レポート受領のメールには、「高いのではないかという疑問が明らかになった」というフレーズの含まれたものが多数あります。これは、依頼者の多くが最近の価格上昇を実感していることを裏付けるものです。
現住所の近辺で販売される物件のチラシ広告などを継続的に見ていたり、モデルルームの見学に出かけたりする行動から、どんどん高くなっているという感想をご依頼時に添えて下さる人もいます。
「やはりそうか。1年前に決めておけばよかった。のんびりし過ぎた。残念」という受け止めが多いのです。
●マンション購入の個人事情
ところで、高いと知ったうえで、ご依頼者は評価物件を購入したのでしょうか? それとも、高いから見送ろうと決めたのでしょうか?
個人情報に係ることでもあるため、依頼者の全てから「買う・見送る」のご連絡を頂くわけではないのですが、6~7割は購入へ向かい、残りは別の物件に切り替えたりしているようです。
「当分の間、検討しないことにした」という声は届きません。あの人はその後どうされただろうかと気になっても、それで縁切りになってしまう人がある一方、忘れた頃に再び別の物件で評価依頼を下さる人もあります。
マンション購入を思い立つときには、何らかのきっかけがあるはずです。例えば、「賃貸マンションの契約更新に際し、更新料を払わなければならないことに気付き、そのとき買った方が得ではないかと考えたことがきっかけでした」というのがよく聞く例です。
若い層では、「結婚のために新居探しを始めたら親が資金援助するから買いなさいというので・・・」という例も最近は非常に目立つようです。
子供が大きくなって手狭さを感じていたとき、ポストに投函されたチラシのローンの返済例を見て「家賃より安いじゃないか」と思ったのが検討を開始するきっかけだったという人も多いと言います。
持ち家の人の中では、同じマンションの売り出し価格をチラシで知り、「結構高く売れるんだ。うちも〇〇〇万円くらいで売れるかも」と思ったことがきっかけだった人や、「このマンションを買いたい人がいます。お知らせ下さい」という仲介業者のチラシに触発されたという人もあります。
同じ社宅に住んでいた同僚がマイホームに転居したことで、「うちも考えようか」となった人もあると聞きます。社宅の解体計画のために転居を迫られて急きょ行動を開始したという例もたまに聞きます。
きっかけとも動機とも言えるものとしては、結婚、子供の誕生、転勤、子供の進学、子供の独立、定年といった人生の転機やライフステージの転機が挙げられます。
●買いたい時が買い得な時期でないことも
マイホーム購入者に聞いたアンケート調査の結果がよく公開されますが、調査の代表的な設問は「今が買い時と思った理由を教えて下さい」です。
回答は、「住宅ローンの金利が安いから」や「住宅減税が得だと思ったから」というのが一般的です。
以前なら「価格が上がりそうだから」という回答もあったのですが、今はなさそうです。
今、仮に購入を断念した理由を聞いたら、一番に「価格が上がってしまったから(予算が足りなくなったから)」が登場して来そうです。
購入環境は必ずしも良いとは言えなくなりつつあります。
買いたいときに価格も金利も高かったという記憶をお持ちの人も多いはずです。会社までもっと近い場所にマイホームを買いたかったが、予算が届かず仕方なくここ(郊外)を買ったという先輩も多数あるのです。
筆者も最初に購入したときの住宅ローン金利は住宅金融公庫で5.5%でしたし、銀行ローンと併用する必要もあって確か8%を超えていたと記憶しています。
次に購入したときは、元のマンションを高く売ることはできたものの、次の新築物件の価格は大きく跳ね上がっていたのです。しかし、買い替えの動機は我が家の事情で「待ったなし」でした。
このように、買いたいときの環境が絶好だとは限らないのです。
●値下がりして買いやすくなる時期はいつかを考えても仕方ない
歴史を振り返ると、マンション価格は上下動を繰り返して来ました。
突き詰めると、物の値段は需要と供給の関係で決まって来るもので、材料費が上がった、人件費が上がったなど供給者側の事情から値段を付けても、買い手の購買力がついて来なければ需要は減退し、売り手は値段を下げるほかないのです。
マンション価格もバブル経済崩壊後に大きく値下がりしましたが、2000年ごろに底を打ちました。その後、2005年頃から再び上昇、2010年にはまたまた値下がりに転じ、最近は2013年に急転、前年比8%も上がりました。2014年以降、今日も上昇トレンドに大きな変化はないのです。2017年も前年比8.4%も上昇率しました(首都圏全体)。
では、今後の見通しはどうなのでしょうか? 多くの業界人が言うのは2020年までは下がることはないというものです。
とすれば、価格が低下し、買いやすいレベルになるのは早くても2020年以降、2022年頃となるはずです。
そう聞けば、「そんなに待てない」と感じることでしょう。それぞれの購買動機から見て自然な想いです。
しかし、もっと早い時点で値下がりに転じることはないのでしょうか? 絶対ないとは言い切れないはずです。
結局、いつ買いやすい環境になるのでしょうか?
価格が下がっても金利が同時に下がるとも言えません。
このようなことを深く掘り下げて行くと、購買環境の変化を予測するのは簡単でないことに気付くことになります。としたら、あまり先行きを考え過ぎても仕方ないというのが結論です。
5年も6年も待てない事情があるなら、高い物件でも買ってしまう選択は悪くないのです。「買いたい時が買い時」とも言えるのです。
「思い立ったが吉日」「善は急げ」の格言を思い出してみて下さい。
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終わり