マンションの見方の一つに、4つの「K」というチェックポイントがあります。カンリ(管理)、クウカン(空間)、ガイカン(外観)、ゲンカン(玄関)の4つのことです。
①管理の良いマンションは、年数が経っても価値を保っています。管理は、マンションを選ぶ際に落とせない重要な要素です。
しかし、新築マンションを検討する際、管理がいいかどうかは分かりません。だが、知るすべはあります。管理会社の実績や経験が一つです。営業マンに、管理会社の管理戸数ランキングや、会社の創業年などを聞いてみたらいいのです。
もうひとつは、管理内容を聞くことです。小型のマンションの場合は、管理人が常勤でないことが多いものです。管理費が高くなるため巡回管理の形態を採用します。
管理人が常勤し、目配りをしていないと、駐輪場が雑然としているとか、ゴミが落ちたままになっていたり、入居者のモラルが低下したりして、共用部の汚れが目立つようになるのです。
そうなったマンションは、中古マンションとして売りに出したとき、見学者が良い印象を持たない。当然、価格も下がるということになります。
②空間とは、敷地内の空地がどのような姿かということですが、例えば、駐車場で大部分が占められ、全体に灰色イメージのマンションと、駐車場が隠れ、空間が緑に覆われたマンションとでは、どちらに価値があるか言うまでもないでしょう。
また、緑地以外、空間にどのような共用施設が配されているかも価値を左右するでしょう。オーナーズラウンジ、キッズルーム、パーティールーム、ライブラリー、スタディルーム、ゲストルーム、フィットネスルーム、など
これらは、小型マンションにはいもので、大型マンションが圧倒的に有利になります。
③外観と④玄関は、そのデザイン性のことです。
新築マンションは、多くの場合、未完成の状態で契約することになります。玄関や外観のデザインは、エントランスホールやロビーなどとともに、完成予想図(パース)でしか見られません。しかも、ここを注視して購入する人はあまり多くないのです。
慣れている人もあるでしょうが、想像していたものと完成した実際とは多分にギャップがあるものです。できてから見ると、とても貧弱であることに落胆させられる人も少なくないのです。
実は、売り手は、小さなマンションを大きく立派に見えるように完成予想図をデフォルメ(仏語:意識的に変形させる描画手法)しておきます。ここに落とし穴があるのです。
色も仕上げも、平凡で高級感がない。そのようなマンションは、中古マンションの見学者を喜ばせません。従って、価格にも微妙に影を落としてしまいます。
分譲マンションというのは、区分された1室と共用部を合わせて売買されます1室を購入したようでも、マンション全体を買っているわけです。
自分のマンションはこれだというとき、室内と一緒にマンション全体を思い浮かべるイメージがあるはずです。エントランスやロビーなども、自分の家の一部です。
これらが立派であれば、きっと自慢の家ということになるでしょう。
駅から徒歩で帰る途中、やがて見えて来る我が家の外観は周辺を圧倒するような異彩を放つ。そうしたマンションの方が、賃貸マンションの陰に隠れるように建っているようなマンションより誇らしいはずです。
玄関を開けると直ぐ目の前にエレベーターがあるような狭いロビーしかないよりは、象徴的なオブジェがあり、広くて天井が高いロビーには立派なソファが置いてある。このようなマンションがいいはずです。
日本という国は、物質に恵まれた経済大国であり、近代国家として時代の先端を行く国であるわけです。便利なモノは、そこいら中に溢れ、必要なものは何でも揃います。
機能だけを求めたら、ない物はひとつもないと言ってよいでしょう。そうしたレベルに至ると、人間が次に物に対して求めるのは、機能ではなく見た眼の良さ、すなわちデザインです。
これはマンションでも同じです。かつては「住めたらいい」だったのが、今は、「見映え・デザイン」にこだわるようになって来ました。
デザインの良さはマンションの価値を高めます。昨今、「デザイナーズマンション」という言葉,広告のキャッチフレーズを多く見かけるのは、こうした欲求レベルの変化を証明しているのです。
言い換えれば、デザイン性は、マンションの価値を大きく左右するようになってきたのです。その意味から、貧相なマンションは避けておきたいものです。
売却のつもりがない人も、自分のマンションの価値に無関心ではおれないと思うのですが、いかがでしょうか。
――満点のマンションはないもので、どこか妥協をしなければならないことが多いですが、4つのチェックポイント、それぞれのディテールにおいて、どこまで妥協するか、難しいことかもしれませんが、スルーせずに検討しましょう。